重心の置き所

この頃、筆力がとみに落ちている。原因のひとつとして、私の取材の厚みが足りないのかもしれないが、それ以上に文章作成能力が落ちている。文体の凝集力が明らかに落ちているが、業界新聞の記事はそんなものは求めていないので、この点は心配しなくてもよい。

ただ、私はインタビュー、ルポルタージュが得意なので、客観的事実を淡々と記述する普通の記事は苦手という所がある。——大丈夫だろうか。

とにかく、今はジャーナリストとして修業する時期と前向きに捉えるしかない。これがライターとは似て非なる職業だということはよく分かった。ライターは自分中心に書くが、ジャーナリストは媒体を中心にして書く。重心の置き方がまるで違うのである。

しかし、「ライターで挫折したから、今ここでサラリーマンやっているんじゃないの?」と、今日上司に言われたが、私はまだライターになる/生きることを諦めた訳ではない。今は雌伏の時だ、と言いたい所だが、今自分が手がけている仕事が、己の本質を表現、体現していないと見るのは不幸なので、そういう傲慢な見方は控えたい。

世間ないし社会に時に媚びたり、時に糺したりするジャーナリストの仕事も、私の本質に間違いなく適っているのだ。