BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

寛解に向けて

最近、薬が効きすぎているように感じる。毎日、就寝前に、抗精神病薬のオランザピン(商品名:ジプレキサ)とクエチアピン(商品名:セロクエル)を飲んでいるのだが、鎮静が強すぎて、翌朝、思うように起きられない。起きられたとしても、頭が働かなくて、ボンヤリすることが多くなった。近頃、アルコールを飲んでいないので、薬効が顕著に出ているのかもしれないけれども、これでは日常に差し支えある。人生の質が下がるように思えてきた。

おそらく、私の躁鬱病が山を越えて、寛解に向かいつつあるのだろう。私が健康になったので、病気の時に薬だったものが毒になったのだろう。無自覚に漫然と飲んでいい薬などはない。もし、あるとすれば、それは毒にも薬にもならないものである。

オランザピンを毎日飲んでいると、気だるくてしょうがないので、頓服として飲むことにした。熟睡したい時、強いストレスを感じている時に飲めばいい。症状に応じて、クエチアピンを追加して効果を増強したり、興奮が激しい時にはゾルピデムを追加して沈静化させればいい。

躁鬱病に罹患したことで、私は薬の飲み方を徹底的に学んだような気がする。薬とは医師と薬剤師が処方してくれる化学物質だけでなく、酒、茶、煙草など、私たちが積極的に摂取している、薬であると同時に毒でもある物質のことである。私の場合、躁鬱病は酒を控えるだけでだいぶ治療されたようだ。けれども、今後も、私の人生に酒は必要である。この薬は人生を賑やかに華やかにすることを助けてくれるだけでなく、同時に、憂鬱と混乱をもたらしてくれるのだから。