2021-11-24 病中の天職 キリスト信徒のなぐさめ (岩波文庫 青 119-1)作者:内村 鑑三岩波書店Amazon 内村鑑三について論じるには、私はまだ勉強が足りない。彼の無教会主義は信条的、学問的に反発を覚えるが、この立場を理解し、克服するに至っていない。文士ジャーナリストとしての彼の生き方を尊敬するが、その文体は冗長で、著者自身の意図せざる美文である(福沢諭吉の方が遥かに簡潔で読みやすい)。しかし、それでも寸鉄のように心に突き刺さる一文がある。 汝神を有すまた何をか要せん。 不治の病怖るるに足らず、回復の望なお存するあり、これに耐ゆる慰なぐさめと快楽あり、生命いのちに勝る宝と希望のぞみとを汝の有するあり、また病中の天職あるあり、汝は絶望すべきにあらざるなり1。 内村鑑三『基督信徒のなぐさめ』岩波書店、岩波文庫、1939年、101頁。強調は筆者による。↩