作家には二つのタイプがある。日記を書く人と書かない人である。
吉行淳之介は最初の妻の日記を「俺は日記を書かない」という理由で、焚火にくべてしまった。彼はこの文学の形式を憎んでいた。
一方、辻邦生は、作家として認められる前の、彼の文学修業の消息を伝える『パリの手記』を公刊しているし、その後も『モンマルトル日記』など、小説を書くことの
日記は最も
私自身は2020年から本格的に日記をつけており、
昔の日記を読み返していると、様々な思いが去来する。あの人が好きだ、嫌いだ、夜勤がつらい、眠れない、等々である。日記は人生を反映している。苦しみそのものである。なので、時に書き続けるのが困難になるのである。
今年で「return 0」は終わりにしたい。そして、来年新たに「return 1」を始めるのだ。日記の醍醐味は自身の変貌の過程を如実に感じ取れることである。2022年の私と2023年の私は似て非なる者である。私は日記という形式を通じて、今後も変化を遂げて行く。