垂直と水平

大将と和解した。酒の力も借りて、わだかまりが解けたような気がする。キリストはみずからを通じて、人に神と和解することを説いたが、人はまず神と和解する前にみずからの隣人となりびとと和解しなければならないのではないか。否、まず神が先だろう。人は神と相対し、己に正直になって、初めて人と和解することができるのだ。人と神の垂直の関係が先にあり、その後に人と人の水平の関係が存する。

介護を辞めて出版に行きたい、と大将に正直に話した。自分でも当然の要求だと思う。すると、大将は今の持場(現場)で働きながら、面白おかしく介護を書けばいいと思う。知己の天才編集者が私にアドバイスしてくれたことと同じだ。しかし、私が書きたいのは介護ではなくて、人間そのもの、そして、彼/彼女が棲む社会である。それが介護の現場と重なるかもしれないけれども、やはり、偶然の一致に過ぎない。

先に自身の使命ミッションを定義する。世間的な顧慮はその後に来ればいい。人間の絆は連帯をもたらす以前に隷属をもたらす。自由はそれからの解放の過程だったことを忘れてはならない。