飲もう飲もう

午前2時起床。20日に締切の『塔』に提出する原稿を書き上げる。

「山谷」の連作を思い出で膨らませる。出来はよくない。量産するので仕方がない。創作とは、このような忸怩たる思いに耐えることである。しかし、一つだけよかったことがある。連作を力業で10首書いたことである。「句は賜り物」とよく言うが、神から言葉が降りてくるのを待っていても仕方がないので、自分で作り上げるしかないのである。5年、10年、これを続けていれば、相当な力になるのではないか。歌人として堂々と名乗れるのではないか。まあ、私の肩書は記者でいいんだけどね。フィクションを書くような想像力もないし、絵空事、夢物語を書くことがそんなに良いことだとは思わない。だから、私はファンタジーなど軽蔑しているし、ほとんど読んでいない。現実にもっと大切なことがある。解決すべき問題もある。そう思うのね。そういう意味で、私は今もマルクス主義者かもしれない。——『空想から科学へ』。

『塔』に提出した渾身の作品が5首も落とされたことに、まだ気落ちしている。永田(和宏)さんだったら、私を拾ってくれたのに。女々しいけれど、そういう思いがある。徹夜して原稿を書き終えた永田さんが、妻の河野(裕子)さんと「飲もう、飲もう」という歌ないし文があるが、そういう放埓さはいいなと思う。芸術家なんだからそれぐらいしなきゃあ。

ということで、今、ワインを飲みながら、編集後記のようにこのブログを書いています。