歌うたのしさ 読むよろこび

『塔』2023年1月号が届く。約5年ぶりの再会である。ちょうどその頃に任意団体から社団法人に組織変えしてからは、誌面づくりがいよいよ洗練されているように感じる。その発送用封筒には「歌うたのしさ 読むよろこび」と記されている。今後、全国の歌友たちとしのぎを削ると思うと身が引き締まる。今月の詠草の提出の〆切は20日。明日中に原稿を整理して郵送しよう。

とはいえ、私は近頃、短歌を含めて韻文を全然書いていない。一方、ルポルタージュなどの散文は気合を入れ直して、少しずつ稿を進めている。韻文と散文の間には矛盾、対立、緊張があるし、両立は想像以上に困難である。片方に専念した方が楽だろうし、私はどちらかというと歌よりも文の人なのだが(私は文人/文士という言葉に拘るのはこのためである)、両方続けた者にしか分からない恩恵めぐみがあるのは確かである。島地勝彦(編集者/バーマン)の「迷ったら、二つとも買え!」の金言に従うしかない。