BOOKMAN

Takashi Kaneko

スティグマ

転職活動の動きがにわかに鈍くなった。

先日、書類選考が通過した企業の1次面接を終えた後、アンケートが配られた。「過去3年間、メンタル不調になったことがあるか?」「現在、医療機関に通院しているか?」などの設問があった。回答は「任意」とのことだが、私は正直に答えて、署名欄にサインした。「病気を理由にして、落としたいなら落とせ」私は少々投げやりな気分になって、その事業所を後にした。

結果的に1次面接は通過したが、次の選考である職場見学では、私はその企業の社員から、まるで腫れ物のように扱われた。当日の朝、私の顔を見るやいなや、「体調は大丈夫ですか?」大丈夫に決まっているじゃないか、昨夜もバーで働いてきたんだ。

職場見学はそつなくこなしたと思ったが、最後のブリーフィングで前回提出したアンケートについて尋ねられた。私は躁鬱病の持病があること、現在治療中であることを正直に話した。すると、彼らは病気の症状についても詳しく聞きたがったので、ときどき眠れないことがある、と答えた。それを聞いて、彼らは納得したのかは判らなかったが、「精神的に不安定だと、利用者に引っぱられることがある」と懸念を示し、「このことは上に話しておく」と早口で話した。私はその事業所を不安と不快が入り交じった気持で後にした。

今朝、その会社から通知が届いた。結果は「不採用」。理由はもちろん書かれていない。予想どおりだった。SDGsが叫ばれるこの時代に、私は精神疾患ないし精神障害者に対する世間の偏見がいまだに根強いことを、改めて思い知らされたのだった。むしろ、それらに対する世人のアレルギーは昔よりも強いのではないか。仕事、ことに就職において、精神疾患は烙印スティグマのように機能する。まだ、選考中の企業は残っているが、私はもしかすると、フリーライターとして以外生きて行けないのではないか。なぜならば、この世で人間の病気、懦弱、罪悪に対して、理解と寛容を持つのは、キリスト教と文学しかないからである。