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TAKASHI KANEKO

否定の意志

退職届を書いた。

これを今日、上司に提出すれば、来年の私の生活は一変すると言っても過言ではない。

4年間勤め上げた会社だが、今では一介のアルバイトに過ぎない。決意、と言っても大げさかもしれないが、私のささやかなそれは退職ではなくて、来年の仕事、否、今後の自分の一生の仕事に向けられている。辛いから辞める、それも一理あるが、それよりむしろ、我はいかに生くべきか、己に深く問うた朝だった。死人のごとく生きること、それは私にふさわしい生き方ではない。その否定の意志を私は退職届に記した。

さあ、仕事を探そう。