BOOKMAN

TAKASHI KANEKO

わたくし事として

わたくし事で恐縮だが、明日12月1日付で、私は職場を異動することになる。会社はまるで腫物に触るように私をたらい回しにしているし、結局は年度末に辞めてしまうのだけれども、ここではその話は繰り返さない。ただひとつ言えることは、介護はけっして誰でもできる仕事ではないけれど、私の他にやれる人はいくらでもいるし、あとはその方々にお任せすればいいと思っている。私は私にしかできない仕事、すなわち小説と短歌を書くことに集中すればいい。人生は短い。ゆえに自分に与えられた生命いのちを駆使して、自分の才能を最大限に引き出したい。それが中年に差しかかった、私の人生の後半の課題だろう。以前に書いたように、人は成熟するにつれて、己に相応しくないものは自ずと手放していく。これは案外、哲学というよりも体力の問題かもしれない。