昼下がり、街を歩いていると、ふと、昔、私が新聞屋(新聞販売店)に勤めて、ミニコミ紙を作っていた時のことを思い出した。
その新聞屋は「読売新聞」の販売店だったのだが、2012年当時の読売新聞東京本社の営業マンはいかにも傲慢だった。その仕事の姿勢はふんぞり返っていると言うに他なく、新聞屋の二代目、三代目の社長と胸糞の悪くなる表情を浮かべて談笑していた(「談合」あるいは「癒着」という言葉を想起した)。彼等から見れば、私たち販売店の社員は虫けらのような存在だったし、私たちの社長に対しても、どこか見下しているように見えた。記事一つ書けない一介のサラリーマンのくせに。
あれから10年以上が経ち、新聞不況が深刻化したことで、彼等も昔日の態度を改めざるをえないだろう。もしかすると、リストラされているかもしれない。そう思うと良い気味だった。だんだん気持が良くなってきたので、ついでに私が昔勤めていた新聞販売店を調べてみた。
倒産していた。
具体的な企業名を挙げることは避けるが、2023年12月に破産申告を開始し、負債額は2.5億円に及ぶ。
今は亡き初代社長には、編集のイロハを教えてくれたことで感謝しているが(特にデザインに関しては、今勤めている業界新聞よりも遥かに高度だ)、二代目の社長には特に恩義はない。しかし、世間と人生の無常を思わずにはいられなかった。