昨夜は銀座のバーに初出勤した。夕闇迫るたそがれ時に身じたくして現場へ。遂に夜の仕事が始まるんだ、とおのずと気が引き締まった。賃金労働をするのも2ヶ月ぶりのことだった。
店に入ると、卸したての黒のスーツのジャケットを脱ぎ、店から支給された黒のベストを着た。我ながら似合っている。カウンターに立つのは初めてだが(そもそも飲食の仕事は初めてだが)、バーテンダーの装いが似つかわしく思う。
昨夜の仕事は洗い物がメイン。グラスを洗った後、水滴が残らないように丁寧かつ素早く磨いていった。お客様にチェーサーを注いだり、注文を伺うなど、接客の一部も任された。空いた時間には、上司がステアの仕方を教えてくれた。
お客様の6割は外国の方で、接客には英語が欠かせない。リスキリング(むしろ、今まで以上に)英語を勉強しなければ……。
月曜〜木曜のラストオーダーは23時。30分後に店を閉めると、私達は有楽町または新橋の駅に足早に帰っていった。
こうして、私はバーテンダーとしてのデビューを果たしたのだった。