夜中に目が覚める。だいたい0時に寝ると、3時位には目を覚ますのだが、その後の時間は読書と執筆に充てることになる。仕舞いに軽く酒を飲んで、明方に眠ることが多いが、これは悪習なので辞めたいと思っている。サラリーマンならば断じて許されないだろう。しかし、私は朝、規則正しく出勤する勤め人の生活を辞めてしまった。悪習と習慣、あるいは規則、人はどちらを辞めるか判らないが、確実に片方を切り捨てて行く。
私の早朝覚醒は躁鬱病または薬の影響だと思う。確かに睡眠時間が短いと、いろいろとしんどい場面が多いが、それは世間または社会に合わせるからであって、自分の生活様式を作ってしまい、それに従えば、案外、生きにくくない。ゲーテが言った「きみ自身になれ」(Werde was bist du)とは、こういうことだったのだ。彼も躁鬱病だった。
しかしながら、人間の平均的な睡眠時間を下回るということは、健康に差し障りある。また、普通の人々の人生行路を辿れないということは、それなりに不利益も多い。そのような性向に抗うのが世間一般の人々の反応であるが、私は半ばこれを放棄してしまっている。無駄な抵抗をする代わりに、平均に比べて自分の人生の持ち時間が増えたと考えている。私に与えられた寿命の長さは知らないが、そのように納得するしかない。中年になってようやく分かった。これが人生である。