BOOKMAN

Takashi Kaneko

銀座のバーテンダー

昨日は14時半に出勤、開店準備を済ませた後、15時半から一人で店番をしていると、学生時代の友達が訪ねて来てくれた。

手始めにハイボールを作った。彼がグラスに口を着けると、「美味しい、美味しいよ! 兼子くん」と、嬉しい声を上げてくれた。ウイスキーは低価格のブレンテッド・スコッチだが、ちゃんと作ると美味しくなる。居酒屋のアレとは違うのだよ、居酒屋のとは。

2杯目はダイキリ。ハードシェイクでキンキンに冷やして提供する。カクテルグラスの中を粉砕した氷が漂う。冷たい口当たりを楽しんでくれたと思う。ラムに対してライムはもう少し控えめでもよかったかもしれない。

3杯目はウイスキーサワー。レモンとシュガーを多めにして果実味を増して、ロックスタイルで提供した。「美味しい! 兼子くん、お酒作るの上手いね!」と、感嘆の声。予想以上の反応に嬉しくなったが、私は謙遜した。「料理が得意な君とは違って、せめて、酒を作るのは上手くならないとね」

4杯目はジンライム。ステアではなく、キンキンに冷やして、清涼感を楽しんで欲しいので、シェイクして提供する。もう少しライムジュースを多めにした方がよかったか。友達は甘口が好きなので、シュガーシロップを入れてもよかったかもしれない(それだと、ロックスタイルのギムレットになるが)。

友達が飲みに来てくれたことで、緊張がほぐれて自然体で仕事ができた。「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」。銀座のバーテンダーとしての自覚が芽生えた夕だった。

ウイスキーサワー